第44章 天魔归来 地狱挽歌⑤旧忆

【天人の将士甲】

「帝釈天様、城を攻めるはずの鬼族がここに向かって来ました。気づかれたようです!」

帝释天大人,攻城的鬼族朝着这里来了,我们恐怕被察觉了!

【毘瑠璃】

「まさか、誰かが私達の行動を漏らした?」

难道说有人泄露了我们的行踪?

【帝釈天】

「いや、鬼族が何かの情報を得たと言うより、全員でこっちに向かっている。誰かが情報を漏らした場合、先に一部の精鋭を派遣するはずだ。あの様子は、明らかに誰かに操られている。」

不,那群鬼族并非是闻讯而动,而是一起朝着这里来,如果是有人报信,总该有个先来后到。他们这个样子,分明是受人操控。

【毘瑠璃】

「しかしやつらの兵力は我々の五倍以上、到底敵わない!私が正体を明かし、瑠璃城の城門を開かせ、一旦城に入ってから対策を練りましょう!」

可他们人数众多,是我们五倍有余,我们怕是要不敌!让我亮出身份,命琉璃城开门,至少让我们先入城再从长计议!

【帝釈天】

「だめだ、瑠璃城が城門を開くと、鬼族の軍隊は必ず瑠璃城へと向かう。それでは城の中にいる民たちが危ない。私達は援軍としてここに来た。例え戦死することになっても、決して城門を開いてはならない。」

不行,琉璃城一旦开了城门,鬼族军一定会掉头冲入城中,到时候城中的百姓就会遭殃。我们是来支援的,就算战死城下,也不能开城门。

【毘瑠璃】

「ではどうしましょう?」

那该如何是好?

【帝釈天】

「やつらが傀儡である以上、きっと策略で勝てるはずだ。誰かが操っているということは、私にも操ることができるはずだ。全員、鬼族を迎え撃て!」

倘若他们只是傀儡,定然能用智谋取胜,别人能操控他们,我自然也可以。所有人,迎战鬼族!

【天人の将士甲】

「はっ!」

是!

帝釈天は、自分達を迎え撃つべく現れた小人数の鬼族の部隊を避け、そのまま瑠璃城の近くにいる本隊を討つようにと全軍に命じた。瑠璃城の近くの本隊は急に攻撃を受けたせいで一時的に痛手を被ったが、兵力で圧倒的に有利な鬼族は、すぐに天人の軍隊に反撃を仕掛けた。

帝释天命全部兵力绕过前来迎击的小股鬼族军队,而直接攻向了驻扎在琉璃城下的大部队。琉璃城下的鬼族虽然被杀了个措手不及,但兵力悬殊下,很快就对天人军队发起了反击。

【天人の将士甲】

「やつらは数が多すぎる、それに全く命を惜しんでいないようだ。例え手が骨だけになってもまだ戦う気だ、これでは片時も持ちこたえられない!」

他们人数众多,又完全不要命一般,就算断了手也要露着骨头继续打,这攻势我们片刻都撑不住了!

【天人の将士乙】

「うわあああああああ!胸が!」

唔啊啊啊啊啊!我的胸口!

【天人の将士甲】

「毘瑠璃様!どうか彼を助けてください!」

毗琉璃大人!救救他吧!

【帝釈天】

「毘瑠璃、動くな。」

毗琉璃,别动。

【毘瑠璃】

「帝釈天様!」

帝释天大人!

【天人の将士甲】

「しまった、向こう側の鬼族の軍隊もこっちに向かってきた、囲まれてしまう!帝釈天様、早く撤退の命令を!このままでは手遅れになります!」

糟了,对面那队鬼族军队也折返了,我们要被包围了!帝释天大人,请下令撤兵,不然就来不及了!

【帝釈天】

「誰も撤退するな、最後まで戦え、脱走する者は容赦なく殺せ!」

谁也不准走,给我战斗到最后一刻,凡有临阵脱逃者,格杀勿论!

【天人の将士乙】

「助けて……」

救我……

【毘瑠璃】

「鬼族が合流し、挟み撃ちにされてしまった……帝釈天様を守れ!」

两队鬼族会合了,我们被两面夹击了……保护帝释天大人!

【天人の将士甲】

「うわあああああああ!」

唔啊啊啊啊啊!

帝釈天が振り切ってきた鬼族の軍隊が引き返して、後方から天人の軍隊を襲い、城下の軍隊と共に天人の軍隊を囲んだ。天人の軍隊は敵うはずもなく、大打撃を受けた。四方から天人の兵士の悲鳴が聞こえる。

被帝释天甩开的鬼族军队折返后从后方袭击了天人的军队,与城墙下的鬼族们形成包围之势。天人一军不敌,死伤惨重,四处都是天人将士的哀嚎声。

【毘瑠璃】

「全員……戦死しました……帝釈天様、あなたの命令を守って、兵士達は全員瑠璃城の下で戦死しました…しかし鬼族にとってこの戦いは、痛くも痒くもないでしょう。これで、本当に瑠璃城を守れたのでしょうか?いいえ、この毘瑠璃は瑠璃城の前城主として、城にいる民のために、姉蘇摩のために、最後まで戦い抜いてみせます!」

我们……全军覆没……帝释天大人,正如您所说,将士们全都战死在了琉璃城下……但这场战对于这群鬼族根本不痛不痒,这样,真的算是守住了琉璃城吗?不,我毗琉璃身为前琉璃城城主,为了城中的百姓,为了姐姐苏摩,要血战到底!

【帝釈天】

「私は蘇摩の要請に応じて援軍を送り込んだ、あとはあなた一人で戦えばいい。」

我已应苏摩之邀将援军送到,你就独自迎战吧。

【毘瑠璃】

「瑠璃城に攻め入ろうと企む鬼族ども!この瑠璃城の前城主毘瑠璃がいる限り、民を傷つけることは許さない!うわあああああああ!」

觊觎我琉璃城的鬼族们!我琉璃城前城主毗琉璃,绝不会让你们伤我琉璃城百姓!唔啊啊啊啊啊!

毘瑠璃は胸を鬼族の矛に貫かれ、無念に倒れ、狂暴化した鬼族に囲まれた。

毗琉璃被鬼族以长矛刺穿胸口,掼倒在地后,狂暴的鬼族们一哄而上。

【毘瑠璃】

「帝釈天様!助けて!」

帝释天大人!救我!

しかし帝釈天は、振り返ることなく消えた。

然而帝释天已经头也不回地走远。

【毘瑠璃】

「やはり姉様の言う通りなのですか、本当に……私が間違っていたのか……え?どういうこと?私は怪我をしていない?戦死したはずの兵士達も、まだ生きている……しかしさっき我々は確かに……」

难道说姐姐所说是对的,我真的……看错了您吗……嗯?怎么回事?我并没有受伤?本已经战死的将士们,也都还好好的……但刚才我们分明……

【阿修羅】

「さっきお前達は、帝釈天と共に襲ってきた鬼族の軍隊を避け、城門の下にいる攻城を任された軍隊を襲った。しかしすぐに攻撃を止めた。肩透かしを食らった鬼族の軍隊が引き返してきたのを見て、すぐに撤退したんだ。だが鬼族の二つの軍隊はそれを見なかったかのように、そのまま進んでぶつかり、敵を見つけたかのように殺し合いを始めた。互角の実力を持つ鬼族の二つの軍隊は戦い続け、すぐに全滅した。」

刚才你们跟着帝释天绕过前来迎击的鬼族军队,去城门下袭击了负责攻城的鬼族部队。然而只是不痛不痒地打了两下,看到扑空的鬼族军掉头来追,就直接撤了出去。不过两队鬼族却跟没看到你们撤了一样,依然往一处跑,撞到一起后,仿佛互相见了仇人般打了起来。两边鬼族打得不相上下,难舍难分,不一会就全军覆没了。

【天人の将士甲】

「しかし帝釈天様が撤退するなと命じたはず…」

可我分明记得帝释天大人命我们不得撤兵……

【天人の将士乙】

「俺も戦死したはずだが、まだこうして生きている。」

我还战死了呢,一眨眼现在却又好好在这了。

【帝釈天】

「それは私が悪夢を見せたせいだ。あなた達は兵士だから、戦闘状況の読みが私よりも上だった。夢が限りなく現実に近かったから、鬼族を容易く騙すことができた。しかし夢の中とはいえ、皆に辛い思いさせたことは事実だ。私の策は犠牲者を出さなかったが、それでも皆を傷つけてしまった。皆に謝りたい。瑠璃城を守るために仕方なくとった、私の軽率な行動を許してほしい。」

是我让你们做了一场噩梦,你们是将士,对战事局势在心中的评估在我之上。梦境也极尽真实,用来骗过那些鬼族绰绰有余。不过即使是梦境,却还是让诸位承受了真实的苦楚,虽然我的计谋并未使将士伤亡,却还是伤到了你们。我向诸位道歉,希望诸位能看在琉璃城的安危上,原谅我的鲁莽。

【天人の将士乙】

「とんでもないです!我々は結局無事なんです!一人も死なずに、夢を見ただけで勝てたなんて、むしろ喜ぶべきです。」

大人言重了!我们这不是没事吗?不费一兵一卒,做个梦就能打胜仗,高兴还来不及呢。

【天人の将士甲】

「俺達が悪かったんです。帝釈天様を誤解した。俺達こそ、謝るべきです。」

是我们心胸狭隘,错怪了大人,该道歉的是我们才对。

【毘瑠璃】

「私もです…帝釈天様を誤解した上、あんなことまで言ってしまった。どうか許してください!」

我也是……竟然错怪了帝释天大人您,还出言不逊,望您恕罪!

【帝釈天】

「あんなのはただの寝言だ、全く気にしてない。」

不过是一两句梦话而已,我不会放在心上。

【毘瑠璃】

「城を囲んでいた鬼族は消えました。今すぐ姉様に手紙を出しますから、まもなく城内に迎え入れ、労ってもらえるはずです!」

围城的鬼族已除,我这就叫人传信给姐姐,开城门迎军进城,摆酒犒劳诸位!

瑠璃城は城門を開いたが、城外に残っている鬼族はまだ殺し合いを続けている。彼らには城に入る天人の軍隊や開けっ放しの城門が全く見えないようで、仲間の死体を踏みにじりながら、敵を殺す夢を見続けている。

琉璃城门打开,城门外仅剩的鬼族仍旧在互相厮杀。他们眼中仿佛看不到入城的天人军队和大开的城门,踩在遍地同伴的尸体上,沉浸在杀敌的美梦之中。

【阿修羅】

「片付け役として、ここに数人残したらどうだ?敵は数人しか残っていない。我々の敵ではないが、鬼族の血肉は瘴気を放つから、このまま放っておくと、瑠璃城は汚染されてしまうぞ。」

不如留几个人把这里清一清?还剩下几个残兵败将,不是我们的对手,鬼族的血肉会散发瘴气,堆积在这里,也会污染琉璃城。

【帝釈天】

「いいだろう。」

也好。

そうして阿修羅は城外に残り、鬼族の死体を確認し始めた。

阿修罗于是顺理成章地留在了城门外,检查这群鬼族的尸体。

【阿修羅】

「血まで玉醸の匂いを放っている、玉醸を飲んだのは間違いないな。一体いくら飲んだんだ?本当に自分で飲んだのか?」

连血里都有着玉酿的气味,是喝了玉酿无疑了。喝到这地步是得喝了多少,真的是自愿喝下去的吗?

【天人の将士甲】

「数こそ多いが、装備は貧相なものばかりだな。俺に言わせりゃ、こいつらは元々敗軍か脱走兵かもしれない。帝釈天様によって故郷に追い返されたが、玉醸を飲まされて再び前線に送り込まれたんじゃないか?」

我看他们人虽然多,装备却不怎样。说不定本来就是一群败将逃兵,被帝释天大人打回老家后,被灌了玉酿又踢回来。

【阿修羅】

「お前は善見城の兵士のようだが、玉醸のことを知っているか?」

你是善见城的兵,也知道玉酿?

【天人の将士甲】

「知っていますとも。玉醸は最初辺境の軍隊だけが使うものでしたが、すぐ善見城にも伝わってきました。貴族の中でも一時的に流行りました。」

怎么不知道,玉酿虽然起源于边境军营,但是早就传到了善见城,贵族之中一度服用成风。

【阿修羅】

「貴族の連中の霊神体はちっとも役に立たないし、玉醸を飲んでも意味ないけどな。」

那群贵族的灵神体本来就一无是处,喝不喝玉酿确实也没什么区别。

【天人の将士甲】

「しかし帝釈天様が即位してから、玉醸はどこにも見当たらなくなりました。それなのに鬼族はまだそれを持っている。つまり玉醸は元々鬼族が作ったものだったのですね。」

不过自从帝释天大人上位,这样东西已经见不到了,鬼族却还有,看来这玉酿原本就是鬼族造出的东西。

【阿修羅】

「それはおそらく違う。あの鬼王迦楼羅でさえも、玉醸がどこから来たのか知らない。ただ儲かると思って、天人に売って金を稼いでいただけだ。しかしやつが持っているこの瑠璃心は、気配も効用も玉醸に似ているな。しかしどこで手に入れたかと聞いても、やつは口籠ってばかりで答えないんだ。過去のことはよく覚えていない、ただ昔から持っていると言うだけだ。」

这你恐怕是猜错了,那鬼王迦楼罗自己对这东西的来历也不知晓。只是觉得好用就散播给了龙巢对面的天人赚些钱财。倒是他手里的那个琉璃心,气息和效用都和这玉酿相近,问他是哪来的,他却支支吾吾说不出个所以然来。只说自己记不太清过去的事,只记得拿着这东西很久了。

【天人の将士甲】

「迦楼羅、瑠璃心?なぜそこまで知っているのです?」

迦楼罗,琉璃心?你怎么知道这么多大事?

【阿修羅】

「俺はまだ夢の中にいる、これは全てただの寝言だ。」

我还没醒,这些都是梦话。

【天人の将士甲】

「そういえば俺もまだ夢を見ている気分です。早くここを片付けて、帰って酒でも飲みましょう。」

这么说来我也还有种还在梦中的感觉。咱们赶快打扫好这里,回去喝口酒好解乏。

【阿修羅】

「どうやらこの鬼域で、天域を我が物にしたいと思っているのは、迦楼羅だけではないようだ。」

看来这鬼域之中,想要夺下这天域的,不止迦楼罗一个。

戦場を片付けると、阿修羅は残りの天人の軍隊と共に城の中に入った。

战场清完后,阿修罗随着剩下的天人军队入城。

【阿修羅】

「おい、帝釈天はどこにいる?」

喂,你可知道帝释天在哪里?

【天人の将士乙】

「帝釈天様は今日幻術を使って大変お疲れですから、宴を欠席して休まれるそうです。おそらく自室にいらっしゃるのでは。」

帝释天大人今日使用幻术大费心神,没有参宴就回去休息了,可能在房里吧。

阿修羅は帝釈天の部屋の前まで来たが、すぐ帝釈天が中にいないことに気づいた。しかし毘瑠璃はそこで部屋の警備をしているようだ。

阿修罗找到了帝释天的卧房,阿修罗感觉出帝释天并不在房中,然而门前却站着守门的毗琉璃。

【毘瑠璃】

「報告なら明日にしなさい、帝釈天様はすでにお休みになれました。」

有什么事明日再禀报吧,今日帝释天大人已经休息了。

【阿修羅】

「誤解だ。帝釈天が部屋の中にいないことはすでに本人の口から聞いた。ただ心配で、帰ってきたか確認しに来ただけだ。」

你误会了,帝释天早就交代我他不在房中,我是担心他,特意来看他回没回来的。

【毘瑠璃】

「……帝釈天様はまだお帰りではありません。」

……大人他还没回来。

【阿修羅】

「一体どこに行ったんだ、危険な場所か?」

不知道他到底是去了哪里,会不会有危险。

【毘瑠璃】

「鬼族はもういません。帝釈天様なら、例え一人になっても危険な目に遭うことはありえません。」

鬼族已除,大人即使一个人,也不会有什么危险。

【阿修羅】

「そいつはどうかな、瑠璃城の城主蘇摩様と帝釈天の仲はあまりよくないという噂がある。それに瑠璃城は、今もまだ新王に忠誠を誓っていない。彼が瑠璃城で一人になると、何をされてもおかしくない。」

这可不好说,我听说琉璃城城主苏摩大人和帝释天互看不顺眼。琉璃城到现在还没向新王称臣呢,他一个人走在琉璃城里,也保不齐会被人暗算。

【毘瑠璃】

「姉様はそんな恩義知らずの人ではありません。今日帝釈天様に助けてもらったばかりですし、決して恩を仇で返すようなことはいたしません!そもそも帝釈天様は瑠璃城の中にはいません。外にいる客人に会いに行ったのです。すぐに帰ってきます。」

姐姐不是那种人,她恩怨分明,今天帝释天大人带人解围,她怎么会做出恩将仇报的事来!更何况帝释天大人根本就不在琉璃城中,而是外出会客,很快就会回来的。

【阿修羅】

「それなら俺もここで彼を待つ。」

那我就在这等他好了。

【天人の将士乙】

「毘瑠璃様!早く帝釈天様に報告してください!兵営が大変です。皆が二つの陣営に分かれて争っています。反乱を起こすつもりではないでしょうか?」

毗琉璃大人!快通报帝释天大人!军营里出了乱子,一群人分成两派,大打出手,这该不会是要造反吧?

【毘瑠璃】

「何ですって?!しかし帝釈天様は……」

什么?!可是帝释天大人他……

【阿修羅】

「ただ酒を飲みすぎんだろう。帝釈天の手を煩わせることはない、俺が様子を見にいく。」

我看不过是喝酒喝多了,不劳烦他帝释天,我去看看。

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